top of page

とんスポ

195号:南関東カーフマン

バイクでカットされてしまったあの日から早一年。あの時はもう二度とカーフマンになんか出ない、なんて思っていた時期も存在していたが、時が経つにつれ、このまま何もやらずに終わって悔しくないのか、走れないキャラとして笑い話で終わらせていいのか(後はつくトラの松﨑と一緒にリベンジをしたかったというのもあるが)。そのようないくつもの感情が重なった結果、エントリー開始と共に画面を開いてすぐに申し込みを済ませてしまっていた。笑われたっていい。馬鹿にされたっていい。周囲からしてみれば非常に滑稽な姿だったのかもしれない。それでも自分の中では確固たる意志で南関東に臨んだ。

レース当日、それなりの練習が積めたとはいえ、走れないのがわかっていたからこそその分バイクで魅せればいいかと思うと非常に気が楽になり、スタートまでいい意味で緊張できた。そのお陰もあり、独特な雰囲気に呑まれてしまい自分を見失い思うようにレースができなかった1年前に比べ、自分を見失わずにスタート地点に立つことができた。

そしてスタートの合図が下される。その直後から1年前のレースが脳内にフラッシュバックした。わけも分からない状態のまま無謀にも前についていこうとしてばててしまった1年前のレースを咀嚼しながら、今回自分が立てていたレースプランを実行した。結果、僅かではあったが去年よりも速くかつあまり疲れていない状態でバイクに移ることができた。それでも先頭から逃げなければいけないことには変わりは無かったので後半に攣ることを覚悟で最初から飛ばした。練習量的にラン以上に不安があったバイクであったが、最後に脚を攣ってしまったものの20人程抜かすことに成功した。これで2ndランも走れれば完璧であったが、そう物事は上手くいかない。攣った状態で走るのは非常に辛く、何度も何度も足を止めようと思う一方、応援していただいている観客の前で歩くという恥だけは晒せないという思いがぶつかり、そのままそれが原動力となって足を前に出す。そんな葛藤を続けているうちにどうにか復活。後ろから迫ってきていた田中聡を振り切り満身創痍になりながらもゴールすることが出来た。ゴール直前に放送で自分の到着がアナウンスされているのが聞こえた時は、感極まって走りながら泣いてしまったことはここだけの話。

南関東が終わった直後は完走出来て一安心したが、暫く経ってから今度はもっと上を狙いたいという気持ちが強くなった。来年度は更に忙しくなると思われるがその中でもこの気持ちを忘れずに目標に向かって邁進していきたい。

 

文責:宮 有希

bottom of page