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とんスポ

186号:カーフマンいわきデュアスロン

2017年 8月 17日 発行

 

 11月に行われたカーフマン東北ステージ。今年は幹部代全員参加というお達しがあった(年間目標に向けて部を盛り上げるため)ため、筆者もエントリーすることになった。エントリー時にはエリートの部にするかエイジの部にするか、まあまあ迷った。迷った末に、自分はエリートの部で出場することにした。理由はいくつかあった。元陸上部なのでそこそこ走れるから、集団走ならバイク力の無さがタイムに現れにくいから、同期でもエリートに出るやつがいたから、などなど。だが、一番考えていたのは、完走だけでは物足りないという部分である。これまでのレースは途中で集中力を欠いても、完走は可能だった。事実、象潟ではバイクで30km/hすら守れておらず、ATCでは82kmに3時間もかけてしまったが、それでも完走はさせてもらえていた。なので今回はカットされてみるのも一興だろうということで「攻めのエリート」ということにした。

 当日、前日の豪雨の影響も無く、よいコンディションだったような気がする。先にエイジの部を少し応援しに行って陣地に戻ると、エリートで出る人しか残っていなかった。豪華なメンバーだった。なんで自分はここにいるのだろうと思った。とても不思議な感じだったような気がする。審判員の人に、「先にスタートする女子に一周付けられてもカットだからね」と言われ、終わったと思った。もう無理だと思った。

 スタートの準備をする。流しをして戻って来るとき、意味も無くお腹を押さえていたような気がする。DNFになった時の言い訳を所作に散りばめていたら、スタートしていた。ファーストラン。前に付かなきゃいけない。でも前速いし、やっぱり無理。とか思っていたら集団の切れ目になっていた。焦った。だがこの辺りになると無理無理言うのにも疲れて、一周回って冷静に「後ろの人とパック作れば良いか」と考え、ペースを落としてしまった。「攻めのエリート」なんて言っていたのが嘘のように、完走ギリギリのラインを探り始めていた。

 無事にファーストランを終え、トランジットも無難にこなし、バイクに乗った。予定通りに後ろから来る集団を待った。待った。半周ほど単走して集団に乗り、集団走が始まった。初めての、知らない人との集団走は思いがけず楽しかった。楽しくてついつい、予定よりローテーションに参加してしまった。予定では集団の人たちにおんぶだっこでバイクをこなしてセカンドランに入るつもりだったのに、誤算だった。途中、「40秒引いてください」と言われたときは無茶言わないでくれと思ったが、それ以外は本当に楽しく乗れていた。結局40秒経つ前に見限られ、先頭を譲ることになったのだが、そんなこんなで最終周に入る直前、ふくらはぎが攣って思うように漕げなくなってしまった。単走は苦しかった。

 トランジットを終えると、生まれたての子鹿を彷彿とさせる、新歓トラを彷彿とさせるランが始まった。あまりの走れなさに笑ってしまうほどだったが、なんやかんやで走り切れた。応援の力は偉大だと、何度目かの再確認をした。

 終わってみれば、いままで出たレースの中で一番楽しんでいたように思う。自分の力がどれだけ足りてなくて、でもあとどれだけ強くなれば戦えるのかがぼんやりと見えたような気がした。もちろんタイム的には惨敗だったしチャンピオンシップの出場権も当然取れなかったが、権利獲得ボーダーまでの差は、努力次第で埋めようがあるものに思えた。こんなに嬉しいことはないと思う。なので「しっかり練習を積んで南関東で権利獲得!」と意気込んでいたのだが、そこにはエントリー合戦という大きな壁があったのであった。エントリー漏れし、途方に暮れた筆者はとんすぽ作成を頼まれていたこともすっかり忘れ、投げやりに学生OPENの部の料金を払い込んでしまったわけだが、果たして延々と単走で頑張らなくてはいけないデュアスロンは楽しいのだろうか。自分が48時間後どういう心境でいるのか、とても楽しみです。

文責:神邑優輔

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